ソフトウェアは世界中に浸透しています。コネクテッド、デジタルエクスペリ エンスの向上、製品の信頼性の向上、パフォーマンスの向上など、今日のソフ トウェアは、もはや自動車業界の単なる歯車の一つではありません。ソフトウ ェアは、自動車との付き合い方を大きく変えるものです。
お客様は、新時代の車両が単なる通勤手段にとどまらず、より充実した体験を 求めるようになっています。また、自律走行車では、より安全なモビリティを 実現するために、オンボードソフトウェアの改善が必要となります。馬力に代 わって計算能力が向上すると、何百万行ものコードが車両の走行性、安全性、 快適性、効率性、およびエンターテインメント性を決定するようになります。 車両に搭載されるソフトウェアの増加は、オンデマンドのコンテンツや機能、 エキサイティングな機能にアクセスするための従量課金制モデルなど、OEMに 新たな収益機会ももたらします。
お客様に安全で快適な移動空間を提供するためには、ソフトウェアを継続的に 開発・テストし、改良を加えていくことが重要ですが、そのためにはベースと なるソフトウェアを定期的にアップデートする必要があります。
従来、この作業はディーラーで行われていましたが、ディーラーに車を持ち込 む不便さや、ソフトウェアの不具合対応の遅れによる安全性の低下、ディーラ ーでの生産性の低下によりリコール費用の増加などの問題がありました 。OTA(Over the Air)と呼ばれる遠隔地での車両アップデートが当たり前にな ってきていますが、OTAでのアップデートは「言うは易し、行うは難し」であ り、隔週での車両ソフトウェアアップデートを実現するには、まだまだ長い道 のりが必要です。
OTAとの複雑さ
増える車載ソフトウェア
現代の自動車に搭載されるソフトウェアは、すでに1億行以上のコードで構成 されていると言われています。コネクテッドカーや自律走行車の増加に伴い、 その複雑さとソフトウェアの内容は増加する一方です。次世代自動車のアーキ テクチャは、ソフトウェアをより少ないECUに集約することを目的としていま すが、既存のアーキテクチャをベースにした自動車は、かなりの将来にわたっ て道路を走り続けることになります。そのため、車両には、高度なオンボード 処理能力と、リモートで安全なソフトウェアアップデートを実行する能力の組 み合わせが必要になります。
バリアントと依存関係の管理
自動車のソフトウェアを常に最新の状態にしておきたいと思うのは当然ですが 、現実にはかなり異なる場合があります。OEMは、車の所有者の同意、接続性 、動作条件など、さまざまな現実的な問題から生じるソフトウェアアップデー トの課題や失敗に直面しています。OEMは、更新レベルが異なる相当数の車両 に直面する可能性があり、それによってバリアント管理は困難な作業となりま す。また、OEM企業は、複数の車両モデルにわたるさまざまなサプライヤから 提供される標準的なソフトウェアコンポーネントと独自のソフトウェアコンポ ーネントが混在する多重エコシステムを抱えています。新しいソフトウェアア ップデートを展開するには、複雑なポリシーが必要になることもあります。バ リアントとソフトウェアの依存関係を管理することは、OTAアップデートを成 功させるための複雑な問題を解決する鍵となります。
ソフトウェアアーキテクチャの実現
車載ソフトウェアアーキテクチャとネットワーク・アーキテクチャの組み合わ せは、車両レベルのソフトウェアアップデートを行う上での制限要因となって います。参加しているすべてのECUに一貫したアーキテクチャがないため、複 数のECUにまたがる車両のフルアップデートを実現することは極めて困難です。ソフ トウェアの内容やアップデートの規模が大きくなるにつれ、ECUを点滅させる 既存の方法では、アップデートにかかる時間や部分的なアップデートの実行と いう点で、大きな制限があることがわかりました。ソフトウェアアップデート のセッションが1時間以上も続くことが想像できますか? OTAアップデートソ リューションも、アーキテクチャのニュアンスに合わせてカスタマイズする必 要があります。
セキュリティ
絶えず変化するサイバーセキュリティ侵害の性質2 は、主要な懸念事項です。 堅牢なプロセスがあれば、セキュリティ問題や「お客様」の手動によるアップ デートに対して、より良い対応が可能になります。ソフトウェアの更新プロセ スで特定されるすべてのタッチポイントは、セキュリティ上の懸念事項であり 、考慮する必要があります。セキュリティのタッチポイントは、車両側のソフ トウェアと接続性、ユーザーのデバイス、サーバー側、車両側のソフトウェア と接続性、ユーザーのデバイス、サーバー・サーバ側、そして認証と承認のメ カニズムを含むセキュリティ・インフラストラクチャと多岐にわたります。
UNECE WP.29規則(UN R155/R156)では、これらのリスクにさらに取り組む ために、自動車メーカーに対して明確なパフォーマンスおよび監査要件を定め ています。
OTAのセグメント
このような課題にもかかわらず、乗用車のOTAアップデートは着実に進んでい ます。これにより、自動車メーカーは継続的に更新された体験を提供し、新た な収益源を確保することができます。重工業、農業機器、商用車、オフ・ザ・ ハイウェイ車両、二輪車4 –など、他の様々な分野3でもOTAアップデートが待 ち望まれています。遍在するクラウドテクノロジーは、これらの機械を更新す る為に物理的な不便さを克服する可能性があります。
KPITのOTAソリューション
KPITは、自動車ソフトウェアエンジニアリング、ソフトウェアインテグレーシ ョン、および車両ソフトウェアアーキテクチャに関する20年以上の専門知識を 備えており、生産実績のある安全なフルビークルOTAソフトウェアソリューシ ョンをOEMに提供しています。KPITの強みは、ソフトウェア・インテグレー ション・サービスにあり、OEMがOTA採用プログラムのタイトなスケジュール 、高品質、信頼性という目標を達成するのに役立ちます。
ソリューションには以下を含みます
車載コンポーネント:OTAアップデートマスターからブートローダーまで、500 万台以上の車両に搭載されている車載ソフトウェアコンポーネントが生産され ているため、KPITの組み込みOTAクライアントは、最新のファームウェアや最 新のヘッドユニットアプリケーションをインストールするために、対象となる ECUのフルビークルアップデートや、バックグラウンドアップデートを容易に 実行することができます。
クラウドバックエンド:KPITは、本番環境で実績のあるバックエンドコンポー ネントと、バリアントおよびディペンデンシー管理システムを備えた、クラウ ドに依存しないキャンペーン管理プラットフォームを提供しています。プラッ トフォームの特徴は、安全なパッケージ管理、設定可能なキャンペーンポリシ ー、段階的なアップデートキャンペーンのためのスケーラブルなキャンペーン プラットフォーム、およびOEMバックエンドシステムとの簡単な統合が含まれ ます。
エンドツーエンドの安全なプラットフォーム:KPITは、大手自動車メーカーが 採用している業界標準のUptaneセキュリティフレームワークを用いて、安全性 の高いOTAアップデートソリューションを構築しました。
KPITのOTAアップデートエクスペリエンスの共有
KPITは、インフォテインメントユニットや複数のECUのOTAアップデートを成 功させるために、OEMのソフトウェアインテグレーターの重要な役割を果たし てきました。KPITの包括的で成熟したOTAアップデートソリューション、OTA 採用の段階に関する十分な理解、およびソフトウェア統合能力は、OEMが新た なビジネスチャンスを活用するのに役立っています。
車両とソフトウェアの両方のアーキテクチャを深く理解し、ソフトウェアイン
テグレーターとしてOTAアップデート機能を期限内に強固な品質で提供してき
た経験を持つKPITは、OEMのOTA導入を加速させるトランスフォーメーション
・パートナーとしての地位を確立しています。
参考文書
1. https://www.wsj.com/articles/SB10001424053111903480904576512250915629460
2. https://stackoverflow.blog/2020/12/14/security-considerations-for-ota-software-updates-for-iot-
gateway-デバイス/
3. https://www.futurebridge.com/blog/over-the-air-software-updates-reaping-benefits-for-the-automotive-
業界/
4. https://developmentuat.kpit.com/insights/riding-into-the-future-with-safe-connected-two-wheelers/